耐震補強(耐震リフォーム)にかかる費用はいくら?【床面積&築年数別】に完全解説

耐震補強費用

地震の多い日本では家の耐震化が必須ですが、その費用についてはよくわからない方が多いのではないでしょうか。

耐震補強工事には国や多くの自治体で補助金・助成制度が設けられているため、思っている以上に安く補強工事を行うことができる場合があります。一方で、不安につけこんで悪質な手口で高額な工事を勧誘する業者も存在しますので注意が必要です。

そこで今回は、耐震補強工事の費用や助成制度、適切な業者の選び方についてご紹介いたします。


1.耐震補強工事の費用相場

耐震補強工事は、150万円前後で行われるケースが多いです。以下では、築年数別・床面積別の費用相場や、内容別の費用相場についてそれぞれ解説していきます。

1-1.築年数別・床面積別の費用相場

築年数と家の面積(広さ)によって、耐震補強工事にかかる費用は変わってきます。以下の表で、ご自身に該当する欄を見て参考にしてみてください。

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出典:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合

築年数が長いことで耐震補強工事の費用が高くなる理由としては、耐震診断結果に大きな影響を与える「建物の劣化」が進むことや、築30年以上の建物は現行の耐震基準に比べて耐震強度が不足していることなどがあります。

1-2.耐震診断の費用相場

耐震診断とは、大地震で倒壊しない耐震性があるか建物を調査して確認することです。住宅の弱点を認識し、具体的な対策をとる目的があります。

耐震診断の費用相場は、建物の構造や大きさなどさまざまな要素で決まるため、一概にいくらかかるとは断定できませんが、一般的な木造住宅の場合の費用相場は10万~40万円前後です。

自治体によっては助成制度を設けていることがあるため、事前に確認しておきましょう。

1-3.耐震補強工事の費用相場

耐震工事イメージ

耐震補強工事の費用は、工事内容によって異なります。以下では、工事内容別に費用相場を紹介していきます。

必要な工事内容は、家の状態によって異なります。リフォーム会社に耐震診断をしてもらった上で、ご自宅に必要な耐震工事の費用が分かります。

壁に筋交いを設置

壁に筋交いを設置する耐震工事の費用相場は、5万〜20万円前後です。木造軸組工法の建物の壁に筋交いを取り付けて、耐震性能を強化します。

壁を取り壊して内外装を変える補強方法もありますが、筋交いの設置であれば大がかりな工事が必要なく耐震性を高めることが可能です。

また、工期を短くできる点もメリットといえるでしょう。

外壁に耐震パネルを設置

外壁に耐震パネルを設置する耐震工事の費用は、25万~65万円前後が相場です。壁材を一度取り払い、内部に耐震パネルを設置します。壁と柱・土台の結合を強める工事のため、高い耐震効果が期待できるでしょう。

一般的な軸組工法の場合、柱に地震の力が伝わるため力のかかるところが一点に集中しますが、耐震パネルではそれを軽減できる点が特徴です。

屋根の軽量化

屋根を軽量化する耐震工事の費用相場は、80万~150万円前後です。瓦屋根のような重量のある屋根材を葺き替えることで、屋根を軽量化して建物にかかる負担を軽減できます。

建物は柱や基礎部分によって支えられていますが、地震や台風など建物に負担がかかる事態が起こった場合、屋根が重いと建物にかかる負担が大きくなってしまいます。
屋根を軽量化することで建物の負担を減らし、地震の揺れを小さくできるほか、万が一屋根材が落下した際にも被害を抑えられるでしょう。

1-4.耐震補強工事の明細例

実際に耐震補強工事をした際の明細です。

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明細はあくまで一例で、費用は家ごとに異なってきますので、正確な金額はリフォーム会社に見積もってもらいましょう。

▼こちらの記事では、戸建ての耐震補強は何年から必要なのか、「予算をそこまでかけられない」という人向けに優先度の高い耐震工事は何かを解説しています。

【徹底解説】一戸建ての耐震補強、築何年から必要?工事の内容から費用やかかる期間、補助金制度まで
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2.耐震補強工事・耐震リフォームが必要な場合

耐震補強工事・リフォームが必要な家には、次の4つのような特徴があります。

  • 旧耐震基準の建物である
  • 地盤が軟弱
  • 1階の壁面積が少ない
  • 地震でなくても揺れを感じる

上記の特徴に該当する場合、耐震リフォームを検討してみましょう。

2-1.旧耐震基準の建物である

「旧耐震基準」とは、昭和56年(1981年)6月よりも前の耐震基準のことです。

以前の耐震基準では、震度5程度の地震で建物が倒壊しないことが主な基準でした。しかし、改正後の「新耐震基準」では震度6〜7の地震でも倒壊しないことが基準になっています。

新耐震基準制定後に建てられた新築住宅は、改正後の基準を満たした耐震構造となっているものがほとんどですが、昭和56年(1981年)以前に建てられた家は、耐震リフォームが必要なケースが多くみられます。

2-2.地盤が軟弱

建物そのものの耐震構造だけでなく、地盤も耐震性の高さで重要な要素です。以下のような土地は一般的に、地盤が軟弱といわれています。

  • 山地や丘陵地の盛土部分
  • 後背湿地
  • 低地
  • 埋立地

もともと沼地や川、池だったところを埋め立ててつくった土地は、水分を多く含んでいるため地震に弱い傾向にあります。

上に挙げたような土地に家がある場合は、建物の耐震性を高めたり、地盤改良工事を行ったりした方が良いでしょう。

2-3.1階の壁面積が少ない

1階の壁面積が少ないと建物のバランスが悪くなるため、地震によって倒壊する恐れがあります。1階が車庫や倉庫になっている場合や大きな窓がある場合などは、耐震リフォームを検討したほうが良いでしょう。

家の耐震性を考える際には、重心(建物の重さの中心)と剛心(建物の強度の中心)が近くなる設計が必要です。採光を確保しようと南側に窓が偏っていると、剛心は北側に移動するため耐震性が低くなる要因になります。

2-4.地震でなくても揺れを感じる

地震でもないのに家が揺れている感覚がある場合は、耐震リフォームをおすすめします。

トラックやバスなどの大型車両が道路を通過する際や、2階で子どもが遊んでいるときなど、ささいなことで「家が揺れている」と感じる場合、耐震性に何らかの問題が潜んでいるかもしれません。

築年数が浅くても、施工不良や環境的要因などから破損や腐食が進行してしまうケースもあります。地盤が強いエリアでも耐性が弱くなると揺れやすくなるため、早めの対策が必要です。


3.耐震リフォームの施工事例

実際の耐震リフォーム工事はどのようなものなのか、以下で施工事例を3つご紹介します。具体的にどのような耐震リフォームができるのか、どのような問題をリフォームで解決できるかなど、ぜひ参考にしてみてください。

事例①耐震リフォームとあわせて生活空間も一新!

事例1-0

耐震補強工事に加えて間取りも大きく変更した事例です。元々和室だった場所にキッチンを設け、以前よりリビングを広くして開放感のある間取りになりました。筋交いを設置することで耐震補強を行い、安心して快適に過ごせるストレスフリーな住空間を実現しています。

※横にスクロールできます

事例1-1
事例1-2

出典:https://freshhouse.co.jp/case/20346/

事例②屋根の重量を解消して地震への不安を払拭!

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事例2-1
事例2-2

台風にも地震にも強い屋根に葺き替えた事例です。施主様は地震の不安や、家の傷み具合がひどい点を心配していました。

耐震工事を含めた大規模リフォームを行い、元々屋根は土がのっている瓦葺きで家の重量が「非常に重い」という評価だったため、家の頭である屋根を軽量瓦に葺き替えて、軽量化が実現しました。

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=2013

事例③大規模工事でなくとも築48年の中古住宅の耐震補強が可能

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事例3-1
事例3-2

窓に金物とブレースを設置し、耐震性を強化した事例です。古い建物で地震に耐えられる建物か不安があり、安心して住めるように補強工事をしてほしいという施主様のご要望のもと、リフォーム工事が行われました。

本来は窓のラインに壁が必要だったものの、外壁がサイディングで触ることが難しかったため、ブレースと金物を窓に取り付けることで外壁をいじらずに耐震補強を実現しました。

出典:https://www.ishome.ltd/jirei/detail.php?pid=1699


4.補助金・助成制度を活用しよう

耐震補強工事では、ほとんどの地方公共団体で補助金等の助成制度を設けていますので、その助成制度を上手く活用することで費用を抑えることができます。

では、助成制度の内容や利用方法を紹介いたします。

4-1.耐震補強工事に対する補助金

耐震補強工事を行う場合に、経費の一部を国と地方公共団体が補助する制度があります。戸建て住宅の耐震補強工事の場合は、上限約100万円の支援を受けられる地域が多くなっています。

(例1)東京都千代田区
対象:昭和56年5月31日以前に建築され、区で耐震診断を受けた木造住宅
補助金:上限120万円
(例2)東京都渋谷区
対象:渋谷区の木造住宅耐震診断コンサルタント派遣事業に基づく診断を行った結果、構造標点が1.0未満と診断された自己の居住用住宅の耐震補強工事
補助金:上限100万円

その他の地域にお住まいの方も、地方公共団体に問い合わせてみてください。「○○県 耐震補強 助成」などで検索すれば、各地方公共団体公式HPの該当ページを見つけることができます。

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4-2.融資制度

一定の条件を満たす場合、耐震補強に要する経費について、独立行政法人住宅金融支援機構から融資を受けることができます。

要件:住宅金融支援機構の定める耐震性に関する基準等に適合するための工事(建物の形や壁の配置、耐震等級の向上など)
融資額:上限1,500万円(10万円以上、1万円単位)

住宅金融支援機構のお客さまコールセンターに問い合わせることで、申込関係書類を請求することができますので、ぜひ活用してみてください。

詳細は、住宅金融支援機構による案内をご覧ください。

4-3.税制の優遇

一定の条件を満たす場合、所得税や固定資産税等の減税を受けることができます。

(例)東京23区の場合

要件

  • 耐震改修後の家屋の半分以上が居住スペースとなっていること
  • 耐震改修に要した費用が50万円以上であること
  • 耐震基準に適合していることの証明書を受けていること
融資額:改修完了日の翌年度1年分について住宅1戸あたり120㎡の床面積相当分まで固定資産税・都市計画税を全額減免
手続き方法:「固定資産税減免申請書」に必要事項を記載のうえ、新築された年の翌々年の2月末までにその新築された住宅が所在する区にある都税事務所に申請

一定の緩和要件や、他の減免制度もありますので、詳しくは東京都主税局のホームページをご覧ください。

また、その他の地域にお住まいの方も、地方公共団体に問い合わせてみてください。


5.耐震補強・耐震リフォームの業者選びに役立つ4つのポイント

耐震補強工事・耐震リフォームには大きな費用がかかります。大切な人命や財産を守れるようなリフォームができる会社なのか、業者選びには細心の注意が必要です。

5-1.実績豊富な会社を選ぶ

リフォーム後の家を理想に近づけるためにも、耐震リフォームの実績が豊富な会社を選ぶことがポイントです。施工実績が豊富なリフォーム会社であれば安心して依頼できるほか、経験やノウハウに基づいた、さまざまな提案をしてもらえる可能性が高くなります。

また、リフォーム会社によってどのような工事が得意かが異なります。会社のホームページ等を確認し、実績に加えて耐震リフォーム工事を得意とする会社を選ぶようにしましょう。

5-2.資格の有無を確認する

リフォーム工事は、工事内容に応じて所持していなければならない資格があります。依頼先を選ぶ際には、資格の有無も確認しましょう。

耐震診断や耐震補強工事では、構造計算や設計などができる「建築士1級」の資格が必要です。また、500万円を超えるリフォームを行う場合は「建設業許可」を得ていなければなりません。

ほかにも、特定の講習を受講修了している耐震診断資格者でなければ実施できないことがあったり、自治体によっては業者登録を必須としているケースがあったりします。

資格の有無を事前に確認しておくと、信頼してリフォーム工事を任せられるでしょう。

5-3.複数社で見積りをとる

リフォーム工事を行う際には、複数社で見積りをとることも大切です。

相見積りをとることで、提示された金額が適正な価格かどうか判断できます。また、金額だけでなく会社ごとの対応も比較できるため、自分の希望する工事が可能かを見極める判断材料になるでしょう。

依頼先との打ち合わせ時には伝える希望や条件を統一しておくと、比較する項目が明確になるため、交渉が円滑に進みやすくなります。

5-4.リフォームガイドを活用する

リフォーム会社を1社ずつ調べていくのは手間がかかるというのも事実でしょう。そこでお勧めしたいのが「リフォームガイド」というサービスです。

    リフォームガイド

    ここまででご説明したポイントを押さえたリフォーム会社を「無料で紹介」するサービスです。

    リフォームガイド:無料見積の申込はこちらから(登録はたったの30秒)
    電話番号:0120-395-120
    営業時間:10:00~19:00(全日)


    参考:地震対策のリフォーム工事の方法

    地震への住まいの対策は、ここまで触れてきた「耐震補強工事(耐震リフォーム)」だけではありません。
    地震に対するリフォーム工事の種類は主に以下の3つです。

    • 耐震
    • 制震
    • 免震

    上記3つの地震対策には、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

    [1]耐震のリフォーム工事方法

    一般的な住宅で地震対策をするなら、この耐震の手法を取ります。

    「耐震」は柱や梁(はり)、壁などを補強し、地震に十分耐えられるような構造にする対策です。耐震のリフォームでは、以下のような対策を行います。

    • 筋交いや耐力壁を追加し、地震で揺れた際に柱などの破損を防ぐ
    • 建物の外に金属製のフレームを設置し、建物と接続する

    耐震のリフォームは地盤や立地を選ばないうえに、工事は安価で簡単なため、多くの住宅で採用されています。
    ただし、建物自体を強くして地震の揺れに耐える方法なので、揺れの大きさそのものを小さくできない点には注意が必要です。

    [2]制震のリフォーム工事方法

    「制震」は柱や梁の間に錘やダンパーなどの制震装置を設置し、地震の揺れを吸収する対策を指します。

    制震のリフォームを行った建物の揺れ方は、耐震のリフォームと大差ありません。しかし、制震のリフォームには、振動を抑えて建物にかかる負荷を低減できるメリットがあります。

    また、地震の力を吸収できるため、揺れ幅をある程度小さくすることも可能です。壁を解体して取り付けるだけの施工のため、比較的コストパフォーマンスの良いリフォーム方法といえるでしょう。

    ただし、間取りに制限が生まれる可能性があるほか、建物の構造や築年数によっては導入が難しいケースもあります。

    [3]免震のリフォーム工事方法

    「免震」は建物と地面との間に積層ゴムなどを設置し、地震の揺れを伝えにくくする対策を指します。建物と地盤(基礎)を離すことにより、建物に伝わる揺れを大幅に軽減できる注目の方法です。大型マンションやタワーマンション等の新しい大型の建物で取り入れられています。

    建物に伝わる揺れを弱められるため、建物へのダメージが抑えられます。また、家財や内装などが地震で破損したり、壊れたりすることも防げるでしょう。

    ただし、建物と地盤(基礎)が離れているため、強風の際に建物が揺れる場合があります。維持費がかかる点にも注意しましょう。

    近年では、耐震だけでなく、制震や免震のリフォームを検討する方もいます。
    装置の設置や住まいの間取りに制限が出たり、耐震に比べて費用が嵩んだりすることがあるので、ご自宅ではどんな方法が適しているのか、リフォーム会社とよく相談して決めましょう。
    回答

     


    まとめ

    耐震補強工事にかかる費用は約150万円と高額になりますが、補助金制度を活用し、業者選びのポイントをしっかり押さえておくことで、費用を大幅に抑えられる場合もあります。

    補助金制度は耐震補強工事を始める前に申請しなければいけないので、自身がお住まいの自治体ではどのような制度が利用できるのかを、事前に調べておきましょう。

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